column 白みりんコラム

2025.04.20

下総発酵醸造観光圏の取組

㈱流山ツーリズムデザインは、白みりんミュージアムを核に江戸川・利根川の水運を中心に栄えた発酵文化・食文化・自然環境を活かした観光体験を提供し、訪れる人々にとって特別な顧客体験を提供できる下総発酵醸造観光圏を目指しています。

下総発酵醸造観光圏とは

下総国(しもふさのくに)は、現在の千葉県北部、茨城県南部、埼玉県東部にあたる地域を指します。古代から中世にかけて存在した日本の令制国の一つです。下総国は、利根川や江戸川などの河川が流れる肥沃な土地で、農業が盛んでした。特に、江戸時代には、江戸川・利根川の水運を使った発酵や醸造に関連する文化や産業が集積しており、現在は、酒蔵見学・工場見学・発酵食品を体験できる事業が展開されているます。私たちは、下総地域の地域資源を発掘し、つなぎあわせ、磨き上げることで世界に通用する新しい価値観を創出していきます。

白みりんミュージアムを核とした観光まちづくりに挑戦

下総発酵醸造観光圏を目指した導入期の取組として、地域のステークホルダーの巻込みを図ることで白みりんミュージアム事業の加速化を図っていきます。2025年度は、初めて流山を訪れた観光客が”ここは白みりんのまちなんだ”と感じられるような価値を提供していきます。

下総発酵醸造観光圏の推進に向けた5つの要諦

  • 白みりんミュージアムを活用したエッジの立ったコンテンツの造成

白みりんミュージアムを千葉県北西部の発酵・醸造文化のための拠点として活用していき、ミュージアムというハードを活用しながらエッジの立ったコンテンツを造成していきます。現在白みりんミュージアムでは、世界にここだけしか作れない”マイみりんボトルづくり体験”、”かもしアエール”というキッチンスタジオでは、”こぼれ梅きなこ棒づくり体験”、ながれやまぐるりというショップでは、ほんのり甘くふわふわな”白みりんソフトクリーム”の提供を始めています。

  • 日本食を中心とした食領域に深い知見を有するアンバサダーの選定

下総発酵醸造観光圏に数多くのステークホルダーを集約していくためには、強い情報発信力と知見を持ったアンバサダーを選定することが重要になります。特に下総地域に地縁があり、和食料理を中心に知見を持ったアンバサダーの参画によって、食領域に興味を持つ幅広い参加者の巻込みをできるものと考えています。3月に白みりんミュージアムで開催された第一回白みりんレシピコンテストでは、審査委員長に和食料理人の野崎洋光先生をお招きし、世界中からレシピを募集して最優秀賞を選定するイベントを開催いたしました。このイベントをきっかけに、野崎洋光先生には、公式アンバサダーに就任いただきました。今後も数多くの発酵・醸造に関係する関係者と連携をさせて頂きたいと考えています。

  • 地域事業者と密接な体験・対話を通じた思考・行動様式の共同化

私たちの運営する白みりんミュージアム、下総発酵醸造観光圏の取組もまだスタートしたばかりで、ノウハウ、知見等の暗黙知の形式知化を十分できていません。私たち事務局メンバーが地域の飲食店・物販店の方々との共同体験を行い、つぶさな対話を通して、思考・行動様式の共同化を行うことで知見に厚みを持たせていきたいと考えています。

  • ツーリズム事業者を巻込んだ実証効果の総合的な整理

成田空港という日本の玄関口がある下総地域でありながら、旅行業者、OTAを活用したインバウンドの誘客が不十分な状況です。ツーリズム事業者と国のプロジェクトを実施し、構想策定、旅行商品の共同開発、商品化に至る創作活動の実証活動を総合的に分析することで、ツーリズム商品としての実証成果をあぶり出しを行っていきます。

  • 下総発酵醸造観光圏の裾野拡大にするためのプロフィット還元メカニズムの構築

発酵醸造観光圏の裾野を広げていくためには、本取組によってどのような経済的なメリットがあるのか、地域への経済波及効果がどの程度見込まれるのかについて、エビデンスに基づき説明することができなければ、千葉県、関連自治体、民間企業、大学研究機関等の協力を得ることは難しいと考えています。よって、私たちが下総発酵醸造観光圏の事務局を担い、まずは、取組を開始して下総発酵醸造観光圏のステークホルダーに対するプロフィット還元メカニズムを解明していくことが必要と考えています。2025年3月には、キッコーマンもの知りしょうゆ館、近畿日本ツーリストと連携し「発酵・醸造の旅」として、白みりん・しょうゆの1:1の旅を多くのお客様に体験いただくバスツアーを開催しました。特徴的な部分としては、地域消費を促進するため1,000円のクーポンを旅行商品に組み込んだところ、約9割以上のお客様が、地域の飲食店・物販店を利用するなど経済効果が見込まれました。

事業を加速化するための国プロの活用

観光庁の歴史的資源を活用した観光まちづくり、地域魅力向上事業、国土交通省の交通空白解消プロジェクトの実証運行事業、人材育成事業など、さまざまな国庫補助事業の公募が出ています。下総地域にインバウンドや国内旅行者の人流を創出することを目的に、国庫補助事業に挑戦していきます。

執筆者 吉河 智彦(Tomohiko Yoshikawa)
株式会社流山ツーリズムデザイン 代表取締役CEO
主な経歴
・大手地方銀行にて、新線開通による新市街地開発の有効利用の企画・開発業務を担当し、50以上のテナント誘致を行う。
・その後観光担当として観光地域づくり法人(DMO)の設立支援(事業設計、組織設計、資本設計)及び経営伴走や観光庁、農水省の各種支援策による地域活性化を推進
・外資系コンサルティングファームにて、地域における産業創出・産業集積や地方公共団体が所有する公共遊休不動産の利活用(スモールコンセッション)を専門分野として国・地方自治体の政策立案を支援
・現在は、DMOである㈱流山ツーリズムデザインの代表として、観光地域づくり、第三セクターの経営改善に取り組む